できる社長の「キャッシュ戦略」①経営者が陥りやすい罠
経営者が陥りやすい罠として、
支出の資産計上による問題先送り、
というものがあります。
今までも、数多くの企業が、
支出(キャッシュアウト)を資産に計上することによって、
自滅の道を辿っていった事例を多く見てきました。
どういうことか?
支出(キャッシュアウト)には、
PL(損益計算書)の費用として計上するものと、
BS(貸借対照表)の資産に計上するものの
2種類あります。以下の図です。
現金つまりキャッシュが経費として出ていったことを
帳簿上で管理するには、2通りあります。
それは経費の種類にもよるのですが、
人件費や修繕費、広告費などはそのまま販管費として
損益計算書に計上されます。
これらの費用が経常された際は、
分かりやすく、「利益が減った」「赤字になった」といった形で、
支出(キャッシュアウト)の痛みがすぐに帳簿に現れます。
しかし、
固定資産や棚卸資産、有価証券といった資産で資産としてBSに計上されるものは、
痛みとしてPLに現れてくるのが遅くなります。
建物や設備のような減価償却資産は、取得後に減価償却費を計上しますが、
計上し終わるのは、実際の支出時よりもずっと後になります。
また、土地や棚卸資産のような、減価償却しない資産は、
最終的に売却をしたり、評価損を計上するまでの間、
痛みは表には出てこずに、「塩漬け」の状態となります。
実際に、PLが真っ赤にでもなれば、だいたいの経営者は危機感を覚え、
打ち手を必死になって考えるのですが、
PLが黒字を保っている限りは、多くの場合問題は先送りにされてしまいます。
資産計上により見えにくくなったキャッシュアウトの痛みは、
借入れの増加でうやむやにされてしまいます。
これが繰り返されることで、借入れの割合が大きくなり、
最悪のケースはリスケなどに繋がります。
つまり、
PLだけでは見えてこない、財務諸表の見方があるのですね。